1987年4月6日、よみうりテレビ・日本テレビ系でアニメ「シティーハンター」が放送開始した。
北条司原作、新宿の「法で裁けない悪を討つ」スイーパーで、シティーハンターと呼ばれる冴羽獠とパートナー・槇村香たちの活躍を描いたこの作品の主題歌として、オープニングに小比類巻かほる「City Hunter〜愛よ消えないで〜」、エンディングに TM NETWORK 「Get Wild」が起用された。
「Get Wild」は、小室哲哉作曲・編曲によるシンセサイザーサウンドに、TM NETWORK デビューから作詞を手がける小室みつ子による、都会の孤独をテーマにした歌詞が載った作品であった。
物語の最後に被さるように「Get Wild」が流れる番組構成は、当時物語とエンディングテーマの間にコマーシャルを挟むことが定番だったテレビアニメとしては、斬新な演出となった。

1987年4月8日、シングル「Get Wild」リリース。前年の1986年に小室哲哉が作曲を手がけた渡辺美里「My Revolution」の大ヒット、1987年2月にリリースされたアルバム「Self Control」オリコンチャート週間3位という、TM NETWORK が勢いに乗っている状況下、アニメのヒットもあって、「Get Wild」は大ヒットした。そしてオリコンチャート週間9位(前作のシングル「Self Control (方舟に曳かれて)」は週間3位)、ベスト100に26週ランクイン、年間22位を記録し、TM NETWORK の代表曲となる。
1987年6月24日、彼らにとって初の日本武道館公演「TM NETWORK FANKS CRY-MAX」のオープニングは「Get Wild」であった。また1987年7月1日リリース、彼らにとって最初のベストアルバム「Gift for Fanks」の1曲目に「Get Wild」は収録される。ちなみに、「Get Wild」はオリジナルアルバムには収録されていない。
「Get Wild」は TM NETWORK の代表曲であることから、小室哲哉が「代表曲を最新のサウンドにアレンジし直すことで、今の TM NETWORK を示す」というコンセプトを持っていたことから、1989年の「GET WILD '89」を皮切りに、様々なバージョンの「Get Wid」が TM NETWORK (TMN)名義で発表される。「Get Wild」リリース30年目の2017年、それらの派生バージョンと他のアーティストによるカバーを集めた、収録曲全曲「Get Wild」のコンピレーションアルバム「GET WILD SONG MAFIA」がリリースされる。
その後も宇都宮隆が「GET WILD PANDEMIC」としてセルフカバー、2018年のソロデビュー25周年記念アルバム「mile stone」に収録された。

時間軸を1987年に戻そう。
「Get Wild」の大ヒットもあって、「シティーハンター」=「Get Wild」というイメージが世間に醸成される。
「シティーハンター」のオープニングは、1987年10月(第27話)から大沢誉志幸「ゴーゴーヘブン」となるが、「Get Wild」は1988年3月の最終回までエンディングを飾ることになる。

1988年4月「シティーハンター2」放送開始。オープニングテーマは PSY・S 「Angel Night〜天使のいる場所〜」、エンディングテーマは岡村靖幸「Super Girl -CITY HUNTER 2-」を起用。
同年10月からオープニングテーマは、 TM NETWORK のレコーディング・サポートメンバー経験者で構成された FENCE OF DEFENSE の「SARA」が起用される。デビュー後も FENCE OF DEFENSE はメンバーの個人参加を含めて、断続的に TM NETWORK や宇都宮隆・木根尚登のソロをサポートすることになるが、その縁もあって宇都宮隆がライブで「SARA」をカバーしている。

「シティーハンター2」1988年12月28日の放送(第38話)から、TM NETWORK 「STILL LOVE HER (失われた風景)」がエンディングを飾ることになる。
「STILL LOVE HER (失われた風景)」は1988年12月9日にリリースされたアルバム「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」収録曲。小室哲哉・木根尚登作曲、小室哲哉編曲によるサウンドは重厚なバラード。そのサウンドに載せられた小室哲哉の歌詞は、「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」がレコーディングされたロンドンの、冬の風景をモチーフとした、別れた恋人へのメッセージを込めた曲になっている。
「STILL LOVE HER (失われた風景)」は1989年7月の最終回まで「シティーハンター2」のエンディングを務める。その第50話には「Get Wild」が挿入歌として起用されている。

「STILL LOVE HER (失われた風景)」は1989年3月21日のシングル「JUST ONE VICTORY(たったひとつの勝利)[Remix Version]」のカップリングとして収録されたことからみても、タイアップ曲の割には扱いが軽い状況にあった。加えて、アルバムリリースと連動したツアー「CAROL〜A DAY IN A GIRL'S LIFE1991〜 TM NETWORK TOUR '88〜'89」では演奏されたが、その後、TM NETWORK から TMN にリニューアルされた頃は演奏される機会に恵まれなかった上、その頃リリースされたライブベストアルバム「TMN COLOSSEUM I」「TMN COLOSSEUM II」、リミックスアルバム「TMN CLASSIX 1」「TMN CLASSIX 2」、ベストアルバム「TETSUYA KOMURO PRESENTS TMN BLACK」「TAKASHI UTSUNOMIYA PRESENTS TMN RED」「NAOTO KINE PRESENTS TMN BLUE」にも収録されなかった曲であった。
しかし「STILL LOVE HER (失われた風景)」はFANKS(ファン)での人気が根強く、1994年の TMN 終了に伴うラジオ番組「10th Memorial Night」での人気投票で2位にランクインされる。この結果を受けて、TMN 終了ライブ「TMN 4001 DAYS GROOVE」の2日目(1994年5月19日)に急遽演奏されることとなった。
その後も、TM NETWORK ネットワーク再始動後最初のツアー「TM NETWORK TOUR MAJOR TURN-ROUND」(2000〜2001年)でセットリストに組み込まれ、2004年のベストアルバム「Welcome to the FANKS!」の収録曲を選ぶファン投票では4位にランクインするなど、「STILL LOVE HER (失われた風景)」は TM NETWORK の代表曲としての地位を確立する。
TM NETWORK だけでなく、宇都宮隆・木根尚登のソロライブでも「STILL LOVE HER (失われた風景)」が歌われている。1989年の宇都宮隆ベストアルバム「TAKASHI UTSUNOMIYA THE BEST “FILES”」に、TM NETWORK バージョンの「STILL LOVE HER (失われた風景)」が収録される。また木根尚登は、2012年に TM NETWORK 作品のセルフカバーアルバム「キネバラ」において、アコースティックギターをメインにした同曲を収録している。

再び時間軸を1989年に戻そう。
1989年10月15日、アニメ「シティーハンター3」放送開始。オープニングテーマに小室哲哉「RUNNING TO HORIZON」、エンディングテーマに鈴木聖美「熱くなれたら」が起用される。
作詞・編曲は小室哲哉・作詞は小室みつ子のタッグで作られたアップテンポのナンバーは、同年7月にシングルリリースされた TM NETWORK 「DIVE INTO YOUR BODY」と同時期に作られたが、多数決でシングルリリース見送りになった曲である。
1989年10月28日、小室哲哉ソロデビューシングルとして「RUNNING TO HORIZON」リリース、オリコン週間チャート1位を記録する。「RUNNING TO HORIZON」は、同年12月9日発売のファーストソロアルバム「Digitalian is eating breakfast」にも収録された。
「RUNNING TO HORIZON」は1990年1月の最終回まで「シティーハンター3」のオープニングを飾り、その最終回には「Get Wild」が挿入歌として使われている。
後に「RUNNING TO HORIZON」は2001年に宇都宮隆がソロとしてカバー、シングルリリース後、アルバム「LOVE-iCE」に収録された。

「RUNNING TO HORIZON」以降、TM NETWORK とアニメ「シティーハンター」とのタッグはしばらく見られなくなる。
一方、1993年1月21日リリースの宇都宮隆によるT.UTU名義のシングル「Dance Dance Dance」が、ジャッキー・チェン主演の香港映画「シティーハンター」のテーマとして起用されている。作詞・三浦徳子、作曲・根本一文、編曲・西平彰による「Dance Dance Dance」は、宇都宮隆ソロのロック指向を反映したナンバーとなっていた。同曲は同年2月21日発売のアルバム「BUTTERFLY」に収録されている。

1997年4月25日放送の単発作品「シティーハンター グッド・バイ・マイ・スイート・ハート」で、エンディングテーマとして、 NAHO がカバーした「Get Wild」が起用された。
そして1999年4月23日放送の単発作品「シティーハンター 緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期」で、エンディングテーマとして、オリジナルの TM NETWORK 「Get Wild」が起用される。これには「シティーハンター = Get Wild」というイメージを大切にした原作者・北条司の意向があった。

その後、北条司が「シティーハンター」の派生作品「エンジェル・ハート」を手掛けるようになったこともあり、「シティーハンター」のアニメ作品はしばらく作られなくなる。
2005年、「エンジェル・ハート」のアニメ化にあたり、宇都宮隆によるユニット U_WAVE も主題歌を担当することになる。作詞・森雪之丞、作曲・石井妥師、編曲・土橋安騎夫 & 石井妥師という U_WAVE 参加者によって作られた、思い人を失った男の心情を描いた「Daydream Tripper」は、第13話・第20話〜第23話のエンディングを飾っている。なお、第13話の演出は「シティーハンター」と同じ、物語の最後に「Daydream Tripper」が流される演出となっている。
「Daydream Tripper」は翌2006年4月26日シングルリリース、そのトラックには冴羽獠の声を担当している神谷明のモノローグが入り、またカップリングとして「エンジェル・ハート」派生のラジオドラマ「XYZ Ryo's Bar Reserved for Two + α」が収録された。

20年ぶりの「シティ・ハンター」最新作となる、2019年2月8日公開「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」で、TM NETWORK 「Get Wild」のオリジナルバージョンが、エンディングテーマとして起用される。
2月6日リリースのコンピレーションアルバム「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -VOCAL COLLECTION-」に、「Get Wild」「STILL LOVE HER (失われた風景)」「RUNNING TO HORIZON」が収録された。
そして「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」では、「Get Wild」だけでなく、「STILL LOVE HER (失われた風景)」「RUNNING TO HORIZON」等の歴代主題歌が挿入歌として用いられている。


関連記事:

TM NETWORK「Get Wild」ミュージックビデオ & 「シティーハンター」過去作品 YouTube で公開(映画「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」関連)
(「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -VOCAL COLLECTION-」など各種情報掲載)

TM NETWORK と共に変化した「GET WILD」
(2015年執筆)







Get Wild(完全生産限定盤) [Analog]
TM NETWORK
ソニー・ミュージックダイレクト
2017-04-12


GET WILD SONG MAFIA
TM NETWORK
avex trax
2017-04-05


CAROL A DAY IN A GIRL'S LIFE
TM NETWORK
ソニー・ミュージックダイレクト
2013-02-20


Digitalian is eating breakfast
小室哲哉
ソニー・ミュージックダイレクト
2013-07-17


T.UTU with The BAND All Songs Collection
宇都宮 隆
ソニー・ミュージックダイレクト
2016-09-21


Daydream Tripper
U_WAVE
アニプレックス
2006-04-26