2018年の「クリスマスの約束」放送見送りのかわりに作成された、2019年版「風のようにうたが流れていた」
「風のようにうたが流れていた」は元々、2004年に放送された、小田和正の私的音楽史を元にした音楽番組である。
2001年からはじまった「クリスマスの約束」が、2003年にゲストを迎えて制作・放送されたことから、小田和正の気持ちに区切りがついたところに、TBSが新たな番組制作を提案したことで生まれた番組である。
この時は、番組が私的音楽史の授業、小田和正が講師というコンセプトであったことから、観客は若手のアーティストを含む音楽関係者であった。

15年ぶりに制作された「風のようにうたが流れていた」は、「クリスマスの約束」の流れを汲むため、観客は一般募集である。
但し、小田和正の母校・聖光学院で収録されたこと、ステージには矢野顕子以外の出演者がずっと待機し、演奏やトークを見ているというところに、オリジナルの「風のようにうたが流れていた」の流れを感じ取ることが出来る。

出演者のうち、メインゲストといえるのが矢野顕子と杏。
古くからの友人である矢野顕子と、共演は初めてとなる杏という組み合わせはバランスが良い。

矢野顕子とは、彼女のアルバム「はじめてのやのあきこ」(2006年)やお互いのライブ・イベントで共演歴があるため、息ぴったりのコラボレーションが展開された。
共演曲のうち「はじめてのやのあきこ」にも収録された「中央線」は、「クリスマスの約束 2002」では小田和正1人で、「クリスマスの約束 2007」ではオリジナルの THE BOOM ・宮沢和史を迎えて演奏している。小田和正いわく「中央線」は矢野顕子のカバーバージョンを聞いて知ったそうだが、その矢野顕子との共演が今年になったのはタイミングがなせる技、というべきか。
今回も息ぴったりの共演を見せてくれた。

一方、CDをリリースしているとはいえ、女優がメインである杏の招聘は意外であった。だが、新しい出会いを求めて彼女を見いだした小田和正やスタッフの熱意には頭が下がる。そして、彼女の歌声は良かった。こういった出会いを視聴者に提供するのが「クリスマスの約束」「風のようにうたが流れていた」の特色であり、これは是非続けて欲しいと思う。
その杏が、他のレギュラー出演者達と一緒に最初から最後までステージにいて、テーマ曲ともいえる「風のようにうたが流れていた」等の曲に参加していたのも良かった。

レギュラーメンバーなどにも変化があった。
委員会バンド(根本要(Stardust Revue)・スキマスイッチ・水野良樹(いきものがかり))、 JUJU 、和田唱といったおなじみのメンバーに、松たか子がいなかったのは少し寂しいものがある。ただしステージに登場しなかったのはスケジュールの関係だったようで、ナレーターとして参加のはよいアイデアだったと思う。
その松たか子欠席を埋めるように、佐藤竹善(Sing Like Talking)・矢井田瞳・熊木杏里といった「クリスマスの約束」出演経験者が参加。「風のようにうたが流れていた」「YES-YES-YES」といったコーラスで聴かせる曲で、コーラスを更に充実させることになった。

ただ、3人を前面に出すコラボレーションがあった方が良かった。特に佐藤竹善の場合は、過去の「クリスマスの約束」ではフィーチャリングされる形での出演ではないため、せっかくの機会だった気がする。小田和正との共作「クリスマスが過ぎても」「カオ上げて」、佐藤竹善がカバーしている「生まれ来る子供たちのために」「君住む街へ」「ひとりで生きてゆければ」というコラボレーションの題材になる曲もある。
但し、収録時期の佐藤竹善は、ソロでの単発ライブ、木根尚登とのコラボレーションライブ、イベントへのゲスト出演と多忙な時期であった。そんな中で出演してくれたことだけでも、感謝すべきかもしれない。
次の機会には、小田和正・佐藤竹善のコラボレーションを、テレビで是非聞かせてもらいたいと思う

選曲は申し分ない。
「my home town」をエンディングのBGMではなく、聖光学院のステージでフルで歌ってくれれば、とも思うものの、それは贅沢かもしれない。あの曲は出演者全員で歌う曲、ではない。そして今回、小田和正がひとりで歌う曲には、新曲「この道」が選ばれていた。「クリスマスの約束」は近年、「小田和正音楽特番」であることから脱しようとしている傾向にある中で、今回は「この道」「YES-YES-YES「風のようにうたが流れていた」と小田和正オリジナル曲が3曲入っていた。バランスの面から、見送りとなったのであろう。

「クリスマスの約束」を毎年楽しみにしているが、こうやって季節を変えて「風のようにうたが流れていた」として放送するのも一興であると思う。

今回の番組は「Paravi」で配信されている。
見逃した方は、一緒に配信されている2001年から2003年の「クリスマスの約束」と共に楽しんでみてください。

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Paravi 小田和正音楽特番「風のようにうたが流れていた」紹介ページ
https://www.paravi.jp/title/40248

「クリスマスの約束」公式ホームページ
http://www.tbs.co.jp/xmas-yakusoku/

小田和正公式サイト
http://www.fareastcafe.co.jp/

小田和正ソニースペシャルサイト
http://www.kazumasaoda.com/


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小田和正 公式サイト「STAFF diary」更新(「風のようにうたが流れていた」関連)

小田和正音楽特番「風のようにうたが流れていた」(2019年)セットリスト

小田和正「風のようにうたが流れていた」
(楽曲紹介)

小田和正と矢野顕子〜「風のようにうたが流れていた」2019 前史〜

「Far East Cafe」での出会い〜ネイザン・イースト、佐橋佳幸、佐藤竹善と小田和正〜

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NHK 「密着ドキュメント 小田和正 〜毎日が“アンコール”〜」感想
(2019年)

風のようにうたが流れていた(完全版) [Blu-ray]
小田和正
(株)アリオラジャパン
2016-12-21


はじめてのやのあきこ
矢野顕子
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
2006-03-08