「クリスマスの約束 2019」は、今年の春に放送された「風のようにうたが流れていた」を受け継いだ良い所がある。それはメインゲストの KAN ・松崎ナオを含めた出演者全員が、自分の出番以外はステージに設けられた席にいたことである。
「風のようにうたが流れていた」の時にも感じたのだが、アーティスト全員が自分の出番以外に、演奏されている曲を口ずさんでいる姿は、この番組のテーマ「アーティスト同士が互いに認めあい、尊敬しあう」を体現しているように思う。

メインゲストの選曲も良かった。
「隠れた名曲揃い」と評される KAN は、代表曲「愛は勝つ」をさらっと歌ってから、メインはアルバム曲の「星屑の帰り道」
松崎ナオは彼女がカバーしている、小田和正ナンバーの中ではあまり知られていない「誇れるのはたゞ」から、NHK「ドキュメント72時間」のテーマとして知られる「川べりの家」
「耳に馴染んだ曲」と「隠れた名曲」の組み合わせは、絶妙のバランスだったと思う。

番組レギュラーともいえる、委員会バンド(小田和正・根本要・スキマスイッチ・水野良樹)は、今回はフォークの名曲「心の旅(チューリップ)」と「白い冬(ふきのとう)」と、オリジナルの「愛を何度も」披露。
個人的にはスキマスイッチ・水野良樹が影響を受けた曲を、演奏に入れて良かった気がする。

こちらもレギュラー化しつつある、和田唱(TRICERATOPS)と小田和正とのコラボレーションは、映画音楽メドレー第3弾。これまでのメドレーより新しい曲からもセレクションされているところが注目。
個人的は邦画・ドラマの名曲メドレーも聴いてみたい。邦画・ドラマも名曲が多いし、小田和正・和田唱がどんな曲をセレクションするのか、という点にも興味がある。

事実上のレギュラーJUJUがメインボーカルをのカバー「Will You Love Me Tomorrow」も良かった。ただ「風のようにうたが流れていた」に引き続き、コーラスに徹した矢井田瞳・熊木杏里をメインボーカルにした邦楽の名曲も入れて欲しかった気がする。あるいは2019年版「風のようにうたが流れていた」での「YES-YES-YES」のように、出演者のボーカルが入り乱れるように歌うコーナーがあっても良かったかもしれない。

清水翔太の久々の出演も良かった。
彼が8月に、「クリスマスの約束」のために書き下ろされた「この日のこと」をカバーしたことが、出演のきっかけになったという。
「この日のこと」は初回の「クリスマスの約束〜きっと君は来ない〜」の時に書き下ろされ、2009年と2011年の大メドレーにも組み込まれた曲だが、音源化されていないこともあり、同じく「クリスマスの約束」のために書き下ろされた「東京の空」(2006年に披露。アルバム「どーも」収録)に比べると影の薄い状況となっていた。
そんな中で、彼のカバーがきっかけになってこの曲が「クリスマスの約束」に帰ってきたのは大きい。
せっかく清水翔太を出したのだから、彼と小田和正のコラボレーション「君さえいれば」を演奏しても良かったのではないか、と思うが、それをやらないのが「クリスマスの約束」なのかもしれない。

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「クリスマスの約束 2019」セットリスト

小田和正と KAN 〜「クリスマスの約束 2019」前史〜

小田和正「誇れるのはたゞ」

「小田和正 映像作品史 1981-2019」

今日も どこかで
(2016年)

小田和正作品「このひのこと」〜「クリスマスの約束」史〜
(2018年)

清水翔太 小田和正作品「この日のこと」カバー公開

BETWEEN THE WORD&THE HEART
小田和正
ファンハウス
1995-03-25


あなたに向かって
Sony Music Direct(Japan)Inc.
2019-09-13