1994年の TMN 終了から2年経過した1996年、TMN (TM NETWORK) は再始動への模索をはじめる。1996年から1997年にかけては、小室哲哉による宇都宮隆・木根尚登それぞれのソロ活動へのプロデュース・サポートがメインとなる。その最中の 1996年12月にリリースしたシングル集「TIME CAPSULE all the singles」のボーナストラックとして、小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登の連名名義での新曲「Detour」が収録、ミュージックビデオも制作されるなど、活動再開へのウオーミングアップははじまっていた。また1997年末頃には、小室哲哉は TMN 再始動に言及している。

当初1998年を想定していた TMN 再始動が具体化するのは、1999年。
その年の元旦に放送されたフジテレビ系「TK Presents Nice Dream」で、小室・宇都宮・木根により「SEVEN DAYS WAR」が演奏された。
その後、木根尚登がヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)のサポートソングを依頼され、これを TMN で手がけないか、と小室哲哉に提案したことで、新曲制作も動き出す。
小室哲哉作詞・作曲・編曲による新曲「IT'S GONNA BE ALRIGHT」の一部は、3月27日、国立競技場・ヴェルディ川崎対鹿島アントラーズ戦開幕前のセレモニーにおいて、木根尚登の紹介で披露される。この際に木根が「僕たち TMN として、ヴェルディの応援ソングを歌わせてもらうことになりました」とコメントしている。
5月9日には小室主催のクラブイベント「True Kiss Destination Nite」で3人が揃う形で、TM NETWORK 再始動が宣言されている。

5月31日、小室哲哉は記者会見で TM NETWORK 再始動を宣言する。
TM NETWORK 名義での再始動となったのは「TMN は終了したが TM NETWORK は終了していない」ことや、TM NETWORK が持つ影響力を考えてのことであった。
また、TM NETWORK の新曲は、元々は小室哲哉のインディーズレーベルで、同年ソニー傘下となった「TRUE KiSS DiSC」レーベルでのリリースとなることも発表される。

TM NETWORK 再始動第一弾のシングルは、彼らの代表曲「Get Wild」のリメイクとなった。既にユーロビートにリプロダクト(リミックス)された「GET WILD '89」をはじめ、「Get Wild」はその時代の TM NETWORK のサウンドをまとったバージョンが発表、あるいはライブ演奏されていた。再始動を新しいサウンドでの「Get Wild」で表現するのが、TM NETWORK らしいという判断であった。また、当初は「Get Wild」だけでなく「SEVEN DAYS WAR」のリメイクも検討され、一部プレス発表されていた。

7月22日、再始動第1弾シングル「GET WILD DECADE RUN」がマキシシングルとアナログシングルでリリースされる。完全新録となった「GET WILD DECADE RUN」は、テクノへ傾斜したサウンドに加え、FANKS (ファン)への感謝と思われる小室哲哉による歌詞の追加という試みも加えられた。またこの曲のミュージックビデオも作られている。
カップリングには両シングルに「GET WILD DECADE RUN -112 CLUB MIX」「IT'S GONNA BE ALRIGHT」、そしてマキシシングルには「IT'S GONNA BE ALRIGHT -INSTRUMENTAL」、アナログシングルには「GET WILD DECADE RUN -INSTRUMENTAL」が収録される。
このシングルで全貌が明らかになった「IT'S GONNA BE ALRIGHT」は、「GET WILD DECADE RUN」と同系統のサウンドに、自分の葛藤をテーマにした歌詞、という曲であった。

7月29日、再始動第2弾シングル「10 YEARS AFTER -BOB BLOCKMAN MIX-」が8センチCDでリリースされる。小室哲哉作詞・作曲・編曲になる「10 YEARS AFTER」は、ヴェルディ川崎「2nd.STAGE」サポートソングとなった。
タイトルは同名のバンドが由来となっているが、TMN 終了や「GET WILD DECADE RUN」でも用いられ、その後も TM NETWORK の活動のキーワードとなる「DECADE」を意識してのものであったとみられる。サウンドは「GET WILD DECADE RUN」「IT'S GONNA BE ALRIGHT」を継承しつつ、歌詞は今とこれからを見つめるような曲となった。
シングルのカップリングには「10 YEARS AFTER -INSTRUMENTAL-」が収録される。
また「10 YEARS AFTER」はミュージックビデオが制作されるが、それは「GET WILD DECADE RUN」ミュージックビデオの続編のような作品となっている。
サウンド、歌詞、そしてミュージックビデオから、「GET WILD DECADE RUN」「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「10 YEARS AFTER」は再始動3部作と考えられる。

その年、小室哲哉は時の小渕恵三首相の依頼で、麻薬・覚醒剤乱用防止キャンペーンソングを描き下ろすことになる。
小室作曲・編曲によるラテン調のサウンドに、TM NETWORK の代表曲の歌詞を多く手がけた小室みつ子と SHUNZO ABE (SUPERVISOR)によるメッセージ性の強い歌詞による新曲は、「Happiness×3 Loneliness×3」と題される。
そして「Happiness×3 Loneliness×3」は、フリオ・イグレシアスJr.、シーラ・E、ウォン・リー・フォン、そして TM NETWORK によってそれぞれの言葉で歌われることになった。
「Happiness×3 Loneliness×3」は10月20日に小渕首相の元に届けられた。
そして10月25日「YES TO LIFE FESTIVAL 麻薬・覚せい剤禍撲滅運動千葉大会」 では、「Happiness×3 Loneliness×3」と「10 YEARS AFTER」が演奏されている。

同時期に TM NETWORK にはトヨタ・タウンエースノア/ライトエースノアCMソングのタイアップが舞い込む。木根尚登作曲・小室みつ子作詞・小室哲哉編曲によるこの曲は、80年代の TM NETWORK を意識して作られたサウンドと、リスナーへのエールを込めたメッセージを感じさせる歌詞の組み合わせとなった。

12月22日、マキシシングル「Happiness×3 Loneliness×3」が2種類発売される。ひとつは TM NETWORK 名義のシングル、もう一つは TM NETWORK、フリオ・イグレシアスJr.、シーラ・E、ウォン・リー・フォンそれぞれのバージョンを収録した企画盤であった。
TM NETWORK 名義のシングルには、カップリングとしてトヨタ・タウンエースノア/ライトエースノアCMソングが「80's」と名付けられて収録される。
また「Happiness×3 Loneliness×3」には TM NETWORK、フリオ・イグレシアスJr.、シーラ・E、ウォン・リー・フォンが共演するミュージックビデオが制作されている。

「Happiness×3 Loneliness×3」リリース時、TM NETWORK は2000年春のアルバムリリースとツアーを予告している。
しかしその後、小室哲哉とソニーが対立。その結果、2000年春に TM NETWORK はソニーから離脱し、小室哲哉が新たに設立したインディーズレーベル「ROJAM.COM」へ移籍。アルバムリリースとツアーは立ち消えとなる。

2000年7月27日、香港で開催されるはずだったイベントの代わりに急遽開かれた、横浜アリーナでの TM NETWORK コンサート「Log-on to 21st Century supported by ROJAM.COM」で、「Happiness×3 Loneliness×3」が演奏されている。

2000年12月、TM NETWORK 再始動初のアルバム「Major Turn-Round」をリリース。当初の構想では、「GET WILD DECADE RUN」「10 Years After」「Happiness×3 Loneliness×3」「80’s」などの収録もあったが、結果的には実現していない。

2002年、小室哲哉の吉本興業移籍に連動して、TM NETWORK は吉本興業傘下の「R&C Japan」に移籍。
翌2003年2月、TM NETWORK の未発表音源と「Major Turn-Round」を組み合わせた「キヲクトキロク 〜 Major Turn-Round」をリリース。その中に、「GET WILD DECADE RUN(’99 Version)」「Happiness×3 Loneliness×3(Club Mix)」「It's Gonna Be Alright (TK Vocoder Version)」「10 YEARS AFTER(Featuring COMMON)」が収録されている。

2004年、TM NETWORK 20周年記念ライブ「DOUBLE-DECADE “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」とホールツアー「DOUBLE-DECADE TOUR “NETWORK”」で、「10 Years After」が演奏された。
同年、1999年までの楽曲を対象にしたファン投票によるベストアルバム「Welcome to the FANKS !」に、15位にランクインした「10 Years After」が収録される。同アルバムにはカップリング曲をはじめとするアルバム未収録曲のトラックを集めたCDも収録されるが、ここに「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「80's」が収録される。
2005年、宇都宮隆・木根尚登・浅倉大介・阿部薫・葛城哲哉によるコンサート「SPIN OFF from TM -tribute live 2005-」が開催される。 TM NETWORK のライブでは取り上げられることのことの少ない楽曲を演奏するコンセプトの同ライブで、「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「80's」が日替わりで演奏される。

2012年、TM NETWORK 再始動と連動するように、「TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999」とインスト・カラオケ集「TM NETWORK ORIGINAL SINGLE BACK TRACKS 1984-1999」に、「GET WILD DECADE RUN」「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「10 YEARS AFTER」「Happiness×3 Loneliness×3」「80's」が収録されている。

一方、2007年から2015年までの TM NETWORK のライブでは、これら5曲は演奏されていない。

2019年、ソニーからavexまでの TM NETWORK 全楽曲を対象としたファン投票を実施。この結果、1999年に制作された5曲はどの曲もベスト100にランクインせず、ファン投票を元にしたベストアルバム 「Gift from Fanks T」「Gift from Fanks M」には収録されなかった。


関連記事:

TM NETWORK 「10 YEARS AFTER」

TM NETWORK 「Happiness×3 Loneliness×3」

TM NETWORK 「キヲクトキロク 〜 Major Turn-Round」

TM NETWORK 「Welcome to the FANKS !」

TM NETWORK と共に変化した「GET WILD」
(2015年執筆)

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1999.10.25「YES TO LIFE FESTIVAL 麻薬・覚せい剤禍撲滅運動千葉大会」 TM NETWORK ライブ

TM NETWORK 「Log-on to 21st Century」 2000.7.27 横浜アリーナ

TM NETWORK DOUBLE-DECADE “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA & HALL TOUR

SPIN OFF from TM -tribute live 2005-

GET WILD DECADE RUN
TM NETWORK
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
1999-07-22


10 YEARS AFTER
TM NETWORK
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
1999-07-28


Happiness×3 Loneliness×3/80's
TM NETWORK
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
1999-12-22


Happiness×3 Loneliness×3
TM NETWORK 、フリオ・イグレシアスJr.、シーラ・E、ウォン・リー・フォン
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
1999-12-22


TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
TM NETWORK
ミュージックレイン
2012-05-23