2007年12月にリリースされた、TM NETWORK 11枚目のアルバム。

この年の11月から12月にかけて、TM NETWORK は3年ぶりのコンサートを開くが、そのコンセプトはオリジナルアレンジをベースとする「REMASTER」であり、コンサートタイトルにもコンセプト名がそのまま冠された。
このコンサートに先んじてリリースされたシングル「WELCOME BACK 2」の歌詞は、TM NETWORK の曲のタイトルが多数織り込まれた上、TM NETWORK のアルバム「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」や木根尚登の小説「CAROL」で綴られた物語を想起させるものとなっている。

この「REMASTER」コンサートと並行して作られたのが「SPEEDWAY」である。
SPEEDWAY は宇都宮隆と木根尚登が在籍したロックバンドで、1979年に東芝 EMI (当時)からデビュー。1980年には小室哲哉がメンバーに加わっていることから、TM NETWORK の前身バンド的な存在でもある。
その SPEEDWAY の楽曲を iTunes で見つけた小室哲哉の発案により、「SPEEDWAY のサードアルバム」というコンセプトで作られたのが本作である。
「REMASTER」がこれまでの TM NETWORK 作品への回帰なら、「SPEEDWAY」は TM NETWORK 以前に立ち返っての作品、といったところであろうか。

このアルバムの最大の特徴は、本作に収録された「WELCOME BACK 2」でのドラム・そうる透の参加以外は、全て TM NETWORK 3人だけで楽曲を作り出している点である。
作詞も、「WELCOME BACK 2」のカップリング曲でアルバムにも収録された「N43」が木根尚登作詞である以外は、小室哲哉作詞。小室みつ子をはじめとする作詞家の参加が全くない、TM NETWORK では珍しい作品となった。
演奏も、前述のそうる透の演奏を除いて、小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登だけで行われている。2004年の TM NETWORK 20周年のライブ「DOUBLE DECADE」では、ファイナルの日本武道館公演を除いて TM NETWORK の3人とギタリスト・葛城哲哉だけで演奏されたが、それをレコーディング面で実践したともいえる。
また小室哲哉作曲が6曲、木根尚登作曲が5曲と他のアルバムに比べて木根作品が多いこと、編曲に木根尚登が参加している曲もあることも、他のアルバムにない特色である。

サウンドはコンセプトを踏まえて、アコースティックあるいはロック色の強い楽曲が多いが、小室哲哉のインスト作品では前作「NETWORK TM -Easy Listening-」の流れを汲む、エレクトリックサウンドで彩られた曲もある。

アルバムジャケットは「CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」「WELCOME BACK 2」のジャケットを手がけたガイナックス・佐々木洋の書き下ろし作品である。

2007年「REMASTER」では「WELCOME BACK 2」「N43」が演奏される。最終公演となる日本武道館公演ではこの2曲に加えて、インストナンバー「MALIBU」がオープニングに使われ、アンコールでは「ACTION」が初披露された。この日本武道館公演の模様は、ライブビデオ化されている。
2008年のツアー「TM NETWORK PLAY SPEEDWAY and TK HITS!!」では「ACTION」「MALIBU」「WELCOME BACK 2」に加え、日替わりで「DIVING」「RED CARPET」または「TEENAGE」「PRIDE IN THE WIND」が演奏されている。

TM NETWORK デビュー25周年の2009年は、小室哲哉の不祥事で TM NETWORK の活動は出来なかった。その代わりとなる宇都宮隆のソロツアー「TAKASHI UTSUNOMIYA CONCERT TOUR 2009 SMALL NETWORK F.O.D」では、TM NETWORK のナンバーが演奏されるが、その中に「SPEEDWAY」収録曲「DIVING」「PRIDE IN THE WIND」がセットリストに組み込まれている。

TM NETWORK デビュー30周年のオープニングとなった、2012年の日本武道館公演「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」では「ACTION」がセットリストに組み込まれている。
しかしそれ以降、TM NETWORK のコンサートで「SPEEDWAY」の曲は演奏されなかった。

一方、2012年にリリースされた木根尚登ソロ活動20周年 TM NETWORK セルフカバーアルバム「キネバラ」では、ファン投票で上位にランクインした「N43」が収録曲に選ばれている。木根は、2013年の西村麻聡・葛城哲哉とのジョイントライブ「Xmas Special Live “WONDER THREE”」や、ソロライブ「NAOTO KINE CONCERT 2018 new STORY」で「N43」を披露している。
また TM NETWORK デビュー35周年の2019年、宇都宮隆のソロツアー「Dragon The Carnival」では「WELCOME BACK 2」がセットリストに加えられた。また翌2020年の中野サンプラザ追加公演の初日に、これまでライブで演奏されなかった「夏の終わり」が演奏された。

2019年、ソニーからavexまでの TM NETWORK 全楽曲を対象としたファン投票が実施される。その結果、「SPEEDWAY」収録曲は97位「N43」、100位「ACTION」と低い位置でランクインした。ファン投票を元にしたベストアルバム 「Gift from Fanks T」「Gift from Fanks M」は70位までの曲が対象となったため、「SPEEDWAY」の曲は収録されなかった。


関連記事:

TM NETWORK 「SPEEDWAY」
(アルバム紹介 2007年執筆)

DVD「TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN」
(作品紹介 2008年執筆)

木根尚登20周年記念ベスト TM楽曲集「キネバラ」
(アルバム紹介 2012年執筆)

----------

TM NETWORK -REMASTER- 日本武道館公演
(2007年)

TM NETWORK PLAY SPEEDWAY and TK HITS!! @ ZEEP TOKYO 初日
(2008年)

TM NETWORK PLAY SPEEDWAY and TK HITS!! 千秋楽@ ZEEP TOKYO
(2008年)

TAKASHI UTSUNOMIYA CONCERT TOUR 2009 SMALL NETWORK F.O.D 千秋楽 @ JCBホール

TM NETWORK CONCERT -Incubation Period- 2日目
(2012年)

木根尚登・西村麻聡・葛城哲哉「Xmas Special Live “WONDER THREE”」
(2013年)

「NAOTO KINE CONCERT 2018 new STORY」

宇都宮隆 Tour 2019 Dragon The Carnival 中野サンプラザ追加公演初日

SPEEDWAY
TM NETWORK
よしもとアール・アンド・シー
2007-12-05